作曲家、伊福部昭

伊福部昭先生は、1930年代から亡くなるまで、七十有余年に亘り生涯現役作曲家でありました。


残された、数十曲の作品はそれぞれ強烈な個性を湛えて、今も作曲家伊福部昭の創作を伝えています。
これら伊福部作品は、一般には民族主義的と表現されますが、その一つ一つを見てゆくと、類稀なオーケストレーション、熟慮の末の作品構成、リズムの重視、西洋機能和声からの脱却とその巧妙な援用など、他の作曲家には見られない独自の世界観で、聴衆を圧倒し魅了し続けております。


これらの特徴は、創作年代により若干の変化は見られるものの、その根本的姿勢は、作曲家として終始一貫したものであったといえます。

 

ここでは、チェレプニン賞第一席に輝いた処女管弦楽作品「日本狂詩曲」を始め、伊福部管絃楽法の精華を集めたような幾つもの協奏作品、珠玉の歌曲作品、晩年の筝曲群など、伊福部作品の世界に多くの方々に接して頂きたく、創作年代別に御紹介していきたいと思います。

 

※左のナビゲーションタグから各創作年代をお選びの上、お入り下さい。※

(現在製作中)

 

 

▲1961年「北海道讃歌」初演の時

映画音楽家、伊福部昭―――

伊福部昭先生は、優れた映画音楽作家でもありました。


1947年の「銀嶺の果て」を皮切りに1995年の「ゴジラVSデストロイア」まで、その総担当作品数は三百余作品と言われます(実際担当作品総数は未だに判然としない)。

その担当作品としては、「ビルマの竪琴」、「原爆の子」、「女中っ子」、「座頭市」シリーズ、東宝特撮映画、「大魔神」三部作、「帝銀事件 死刑囚」や数多くの記録映画など多岐に亘っています。
また、それ以外に新歌舞伎と言われる舞台用作品や幾つかのTV・ラジオ用の作品も手掛けております。

 

演奏会用作品と違い、映像と音楽をどの様に結びつけ効果を現出させるか、と言うことに最大限の注意が払われており、中には非常に実験的手法に満ちたものも散見されます。
担当作品の監督としては、黒澤明、市川崑、田坂具隆、中平康、吉村公三郎、伊藤大輔、新藤兼人、稲垣浩、三隅研次、関川秀雄、本多猪四郎、熊井啓などが上げられ、伊福部音楽は、日本映画の黄金期を支えていた存在でもあります。

特に、「ゴジラ」を始めとする特撮映画音楽は、今も多くの聴衆の支持を受け愛され続けています。

 

ここでは、未だ全容が把握されていない、映画音楽について演奏会用作品に次いで御紹介していく予定で居ります。

▲1963年「わんぱく王子の大蛇退治」の録音現場

(左から渡辺節子氏、伊福部昭先生、森康二氏、芹川有吾監督)