小杉太一郎作曲作品の不明楽譜5作品を発見

 昨年より当会 出口寛泰によって進められていた作曲家 小杉太一郎氏の研究・調査活動は、この度、小杉太一郎氏御長男 隆一郎氏の多大な御協力の下、「六つの管楽器の為の協奏曲」をはじめとする5つの作品(オリジナル手稿譜)を発見するという成果に結実しましたので、御報告致します。

 

 今回発見された5作品は、これまで小杉太一郎氏の略歴内ではその作品名が記載されてきたものの、長らく楽譜の所在が不明だった作品です。

 

 特に「六つの管楽器の為の協奏曲」は第21回毎日音楽コンクール作曲部門第2(室内楽)1位入賞作品で、小杉太一郎氏のデビュー作でもあり、これまで度々その楽譜の所在確認が行われたものの発見されず、一時は小杉太一郎氏御葬儀の際、棺に納められたとさえ考えられていた作品であり、この度の発見は日本現代音楽史的にも極めて重要な発見であると考えております。

今回発見された作品は、以下の五つの室内楽を中心とした作品です。

 

・「六つの管楽器の為の協奏曲 CONCERTO per Sei Instrumenti Da Fiato

(先に述べた如く、第21回毎日音楽コンクール作曲部門第2(室内楽)1位入賞作品で、小杉氏のデビュー作。本作品は、Fl,Ob,Cl,Fg,Hr,Trbのための作品で、4楽章構成。)

 

・「トルソー Torso

(バレエのために作曲された。二台ピアノの作品。)

 

・「ラ・トレスカ・バルバラ LA TRESCA BARBARA

(バレエのために作曲された。編成はFl,Ob,Cl,Fg,Hr,Trb,Cb,Tamburo militare con corda,Tamburo piccolo senza timbro, Tamburo senza timburo,Gran-cassa,Piatti,Sop,Ms,Altのヴォカリーズ。タイトルの「トレスカ・バルバラ」とは「野蛮な田舎風の舞踏」という程の意。)

 

・「弦楽三重奏の為の二つのレジェンド」

(二楽章形式のVn.,Va.,Vc.のための作品。)

 

・吹奏楽「Divertissement arch

標準的な吹奏楽編成のための作品。表紙に×印表記の上「吹奏楽の為の行進曲第二番」の記載あり。)

 猶、今回の発見にあたり、今井重幸氏、伊福部極氏から御言葉を頂戴致しましたので、別頁にて(クリックして下さい)ご紹介致します。

発見された「六つの管楽器の為の協奏曲」楽譜と共に。

当会 出口()と小杉隆一郎氏()

「六つの管楽器の為の協奏曲」楽譜表紙

Torso」楽譜表紙

タイトルの文字が切り絵になっており、とても凝った装丁になっている。

▲1952年第21回毎日音楽コンクール授賞式(写真提供;小杉家) 

後列が作曲各部門受賞者で、左より

池野成氏(「序奏と交響的アレグロ」にて管弦楽部門第2位)

夏田鐘甲氏(「交響管弦楽のための三楽章」にて管弦楽部門第1位)

小杉太一郎氏(「六つの管楽器の為の協奏曲」にて室内楽部門第1位)

諸井誠氏(「ピアノ組曲第二番」にて室内楽部門第2位)

村田英夫氏(室内楽部門第3位、作品名未詳)

当会では、今後も研究・調査活動を継続してゆくと伴に、今回発見された作品の演奏会の開催と録音を収録したCDの出版を企画/検討をしておりますので、ご期待下さい。